RETAINING WALL

擁壁工事の費用はいくら?高さ2mを超えると確認申請が要る線引きと、三重のがけ条例を外構専門店が解説

種類別・長さ別の費用の目安から、高さ2mという法律上の分かれ目、三重県建築基準条例が定めるがけと建物の距離、古い擁壁を補修するか作り替えるかの判断、そして擁壁がこわれる最大の原因である背面の水まで整理します。数百万円が動く工事なので、判断の順番を間違えないための記事です。

公開日:2026年9月8日

住宅地の高低差を支える間知ブロック積みの擁壁
※写真はイメージです

三重県津市を拠点に、三重県全域で外構・エクステリア工事を手がけるアトラディックです。擁壁工事の費用は、高さ2m・延長10mの新設で総額150〜250万円程度が目安です(2026年9月時点。複数の事業者が公開する相場を横断して確認した数値です)。

ただ、擁壁で最初に押さえるべきは金額ではありません。高さ2mという線です。これを超えると建築基準法上の工作物になり、確認申請が必要になります。既存の擁壁の上に少し足すだけでも、合計で2mを超えれば申請の対象です。

そしてもうひとつ、三重県には「がけ条例」と呼ばれる県の条例があります。がけの近くに家を建てるときの距離を定めたもので、擁壁をつくることがこの制限を外す手段になるという関係にあります。順を追って説明します。

擁壁工事の費用相場【10m・20mの総額と㎡単価】

高さ2m・延長10mの擁壁を新しくつくる場合、総額150〜250万円程度が中心です。

「1平方メートルあたり3〜5万円」という数字だけで予算を組むと、2〜3倍外れます。この単価は擁壁本体の工事だけの金額です。高さ2m×10mなら20平方メートルで60〜100万円になりますが、実際にはこれに掘削、基礎、残土処分、仮設、確認申請の費用が加わり、総額は150〜250万円程度になります。相場記事で見かける㎡単価をそのまま面積に掛けても、実際の見積もりには届きません。

長さ別の総額の目安(高さ2m・新設)

延長面積本体工事のみ総額の目安
10m20平方メートル60〜100万円程度150〜250万円程度
20m40平方メートル120〜200万円程度300〜500万円程度

延長が伸びても、仮設や重機の回送といった固定的な費用は一定です。そのぶん20mでは1mあたりの単価がやや下がる傾向がありますが、総額では300万円を超えてきます。

構造の種類と高さで変わる㎡単価(本体工事)

構造の種類1平方メートルあたり特徴
間知ブロック積み3〜6万円程度住宅地でいちばん多い。練積みが主流
重力式コンクリート4〜8万円程度コンクリートの重さで支える。低い擁壁向き
鉄筋コンクリート造(L型・逆T型)5〜10万円程度高低差が大きい場合の標準

高さでも単価は変わります。高さ1mなら1平方メートルあたり2〜3万円程度、高さ2mで3〜5万円程度、高さ3m以上になると5〜8万円程度まで上がります。高くなるほど背面の土が押す力が増え、構造も基礎も大きくなるためです。

既存の擁壁を壊す場合

やり替えでは、新設の費用に解体費が加わります。

既存擁壁の構造1mあたりの解体費10mの目安
ブロック積み3〜8万円程度30〜80万円程度
鉄筋コンクリート造(RC)5〜15万円程度50〜150万円程度

金額を大きく動かすのは、次の4つです。

擁壁は外構工事の中でも金額が大きく、判断を戻せない工事です。数十万円で済むフェンスや土間コンクリートと違い、数百万円の規模になります。だからこそ、金額を集める前に「そもそもどの手続きに乗る工事なのか」を確定させたほうが、結果的に早く進みます。

高さと現場条件を見れば、概算と手続きの見当をお伝えできます

擁壁は高さによって必要な手続きが変わります。まず現地で高さと構造、背面の状況を確認したうえで、費用の目安と進め方をご案内します。現地調査・概算見積もりまで無料です。

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高さ2mを超えると確認申請が要る

高さが2mを超える擁壁は、建築基準法施行令第138条で工作物に指定されており、確認申請が必要です。

ここで見落とされやすいのが、「新しくつくる部分が2m以下でも対象になる」ケースです。四日市市が公開している「崖と擁壁(ガイドライン)」では、次のように整理されています。

ケース扱い
高さ2mを超える擁壁を新設する確認申請が必要(新築)
既存の擁壁の上に増設し、合計で2mを超える確認申請が必要(工事種別は増築)
既存擁壁に近接して2段擁壁とし、総高さが2mを超える新設分が2m以下でも確認申請が必要

つまり「今ある擁壁の上に少しブロックを積み足したい」という工事でも、合計の高さで判断されます。「50cm足すだけだから」と考えて着手すると、違反建築物になりかねません。

なお、宅地造成及び特定盛土等規制法や都市計画法の開発許可などを受ける擁壁については、建築基準法の確認申請の規定は適用されません。どの手続きに乗る工事なのかは、擁壁の高さ・場所・敷地の状況で変わります。ここは自治体の建築指導担当に確認するのが確実です。

四日市市ではさらに、高さ3.5mを超える擁壁を築造する場合に中高層建築物等の紛争予防条例に基づく届出(開発許可等に関する条例が適用される開発行為によるものを除く)、高さ5mかつ長さ10mを超える場合に景観法および市の景観条例に基づく届出が求められています。市によって上乗せの手続きがあるということです。

なお、カーポートは工作物ではなく建築物として確認申請の対象になります。根拠となる条文が擁壁とは異なるということです。手続きの流れと三重県内の手数料の実額は カーポートの確認申請は必要?費用と流れ にまとめています。

三重県の「がけ条例」とは

三重県建築基準条例第6条の通称です。高さ2mを超え、勾配が30度を超える傾斜地を「崖」と定め、その近くに建物を建てるときの距離を規制しています。

三重県建築基準条例 第6条(崖に近接する建築物)の内容
建築物の敷地が高さ2mを超える崖に近接する場合、敷地が崖の上にあるときは崖の下端から、崖の下にあるときは崖の上端から、建築物との間に「崖の高さの2倍以上」の水平距離を保たなければならない。
ただし、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令の規定に適合する擁壁で覆われている場合、または土質試験等にもとづき崖崩れ等による被害を受けるおそれのない場合は、この限りでない。

具体的に考えてみます。高さ3mの崖があるなら、その上端または下端から6m以上離さないと建物を建てられません。敷地の奥行きが10mしかなければ、実質的に建てられる場所がほとんど残らないということが起こります。

ここで重要なのがただし書きです。法令に適合する擁壁で崖を覆えば、この距離制限は適用されません。つまり擁壁工事は、単に土が崩れるのを防ぐためだけの工事ではなく、土地を使えるようにするための工事でもあるということです。

土地を買う前にこの条例を知らないまま契約し、あとから「建てられる面積が想定より小さい」と分かるケースがあります。高低差のある土地を検討しているなら、購入前に確認しておく価値があります。

購入前に確認する順番は、次の3つです。

  1. がけの高さと勾配を測る。高さ2m以下、または勾配30度以下なら、この条例の対象外です
  2. 市町の建築指導担当に相談する。既存の擁壁が法令に適合しているか、土砂災害警戒区域などの指定がないかを確認します
  3. 擁壁の状態を現地で見てもらう。既存擁壁が使えるのか、やり替えが要るのかで、土地の実質的な価格が変わります

そして家が建ったあとの外構も、この高低差の上で計画することになります。擁壁・土留めから駐車場・アプローチまで、続けてご相談いただけます。外構全体の予算の考え方は 外構工事の費用相場|100万・200万・300万でできること にまとめています。

なお三重県内では、この条例の運用について四日市市が「崖と擁壁(ガイドライン)」を公開しており、図を使って詳しく解説されています。お住まいの市町の建築指導担当でも相談できます。

「この土地、擁壁をやれば建てられますか」からご相談ください

高低差のある土地は、擁壁の計画で使える面積が変わります。現地の高さと勾配を見て、どんな擁壁が要りそうか、費用はどのくらいかをご案内します。現地調査・概算見積もりまで無料です。

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擁壁の種類と選び方

住宅で使われる擁壁は、大きく3つに分かれます。

コンクリートブロック練積み(間知ブロック)

正面が四角く、奥に向かって細くなる角錐台のブロックを、モルタルで固めながら積み上げる方式です(練積み)。住宅地でいちばんよく見かけるのがこれです。

費用が抑えられ、施工の実績も多い方式ですが、取れる高さに上限があります。高い擁壁が必要な場所や、背面の土の条件が厳しい場所には向きません。

鉄筋コンクリート造(L型・逆T型)

鉄筋を組んで型枠を立て、コンクリートを打つ方式です。断面がL字や逆T字になっており、擁壁の上に載る土の重さを使って、自分自身を安定させるという考え方でつくられています。

高さを取れるのが利点ですが、型枠と配筋の手間があり、費用は練積みより上がります。狭い敷地でも底版の幅を確保する必要があるため、条件によっては採用できないこともあります。

重力式(無筋コンクリート)

コンクリートの塊の重さで土を支える方式です。構造がシンプルで、比較的低い擁壁に使われます。

どれを選ぶかは高さ・背面の土質・敷地の余裕・前面道路の条件で絞られます。予算や工期の希望も入りますが、最終的には現地条件で決まる部分が大きく、設計者と施工者が現地を見たうえで判断します。

危ない擁壁の見分け方|水抜き穴を見る

擁壁がこわれる主な原因のひとつが、背面にたまった水です。

土の中に水がたまると、その水圧が擁壁を押し続けます。設計では水を逃がす前提になっているので、水が抜けない状態は、想定を超えた力がかかり続けている状態ということです。

だから最初に見るべきは水抜き穴です。擁壁の下のほうに等間隔で並んでいる、直径数センチの丸い穴がそれです。これは飾りではなく、建築基準法施行令第142条で「擁壁の裏面の排水を良くするため、水抜穴を設け」ることが求められている、法令上の必須要素です。

ご自宅の擁壁を見るときは、次の点を確認してみてください。

このうち「水抜き穴から土が出ている」「前に傾いている」「はらんでいる」の3つは、構造が力を受けきれていない可能性を示すサインです。見つけたら、様子を見るのではなく専門家に見てもらってください。

擁壁の上にブロック塀やフェンスが載っている場合は、その分の重さも擁壁にかかっています。ブロック塀の安全性については ブロック塀の撤去費用|三重県の補助金は「契約前の申請」が条件 にまとめました。

補修か、作り替えか

判断の分かれ目は、構造が力を受けきれているかどうかです。

ひび割れが表面にとどまり、傾きやはらみがなく、水抜き穴も機能しているなら、ひび割れの補修や水抜きの復旧で対応できることがあります。数万円から数十万円の範囲で収まることが多く、数百万円の作り替えとは桁がひとつ違います。

一方で、傾き・はらみ・水抜き穴からの土の流出が見られる場合は、表面を直しても原因が残ります。背面の土が動いている状態で表面だけきれいにしても、同じことが繰り返されます。

作り替えの場合、新設の費用に解体費が加わります。ブロック積みなら10mで30〜80万円程度、鉄筋コンクリート造なら50〜150万円程度です。加えて、工事中に背面の土を支えておく手当ても必要になります。高さが2mを超えるなら、確認申請の手続きも必要です。

もうひとつ現実的な話として、擁壁は隣地と接していることが多い工事です。境界線上に建っている、隣家の敷地を支えている、あるいは工事中に隣地から重機を入れる必要がある——こうした条件があると、隣家との調整が工程を左右します。金額の話より先に、誰の所有物かをはっきりさせておいてください。

擁壁工事はどこに頼む?外構店にできること

高さ2mを超える擁壁は、構造の設計と確認申請に建築士が関わり、施工も相応の体制で行う工事です。外構店・不動産会社・ハウスメーカーのどこに最初に相談しても、最終的にはこの体制に行き着きます。

アトラディックが承っているのは、その入口です。現地で高さ・構造・背面の状態を確認し、確認申請やがけ条例などどの手続きに乗る工事なのかを整理して、費用の目安と進め方をご案内します。2mを超える擁壁の設計・施工が必要な場合は、体制づくりを含めた進め方からご相談ください。

一方で、次の工事は外構工事の範囲です。

「擁壁ごとやり替えるほどではない」というご相談の多くは、ここで解決します。いきなり数百万円の話にする前に、まず何が起きているのかを確認させてください。

三重県に補助金はあるのか

三重県には「がけ地近接等危険住宅移転事業」という制度がありますが、これは擁壁工事そのものへの補助ではありません。

内容は、災害危険区域や土砂災害特別警戒区域などにある住宅を安全な場所へ移すための制度です。県が公開している令和8年度の内容では、除却費が木造で1平方メートルあたり3.6万円、非木造で5.1万円、引越費等が1戸あたり97万5千円。移転先の住宅については、建設や購入のために金融機関から借り入れた場合の利子相当額に対する補助で、1戸あたり421万円(特殊地域は731万8千円)が上限です。建物代そのものが支給されるわけではありません。

つまり「危ない擁壁を直す」ではなく「危ない場所から出る」ための制度です。擁壁を新しくつくる工事には使えません。

擁壁工事に使える制度があるかどうかは市町ごとに異なります。ブロック塀の撤去のように市町独自の補助がある分野もあるので、着工前に、お住まいの市町の担当課へ直接ご確認ください。補助制度は原則として工事の契約前に申請する必要があり、後からでは受けられないのが通例です。

よくある質問

擁壁工事の費用はいくらですか?

高さ2m・延長10mの新設で総額150〜250万円程度が目安です。よく見かける「1平方メートルあたり3〜5万円」は擁壁本体の工事だけの単価で、20平方メートルなら60〜100万円。これに掘削・基礎・残土処分・仮設・確認申請の費用が加わって、総額は2〜3倍になります。延長20mなら300〜500万円程度です(2026年9月時点。複数の事業者が公開する相場を横断して確認した目安です)。

擁壁に確認申請は必要ですか?

高さが2mを超える擁壁は、建築基準法施行令第138条で工作物に指定されており、確認申請が必要です。既存の擁壁の上に増設して2mを超える場合や、既存擁壁に近接して2段の一体擁壁とし総高さが2mを超える場合も、新たにつくる部分が2m以下であっても申請の対象になります。開発許可などを受ける場合は適用されないため、どの手続きに乗るかは自治体の建築指導担当にご確認ください。

三重県のがけ条例とはどんな規制ですか?

三重県建築基準条例第6条の通称です。高さ2mを超え勾配が30度を超える傾斜地を「崖」とし、その崖に近接して建物を建てる場合、敷地が崖の上なら崖の下端から、崖の下なら崖の上端から、崖の高さの2倍以上の水平距離を保つことを求めています。ただし、宅地造成及び特定盛土等規制法施行令の規定に適合する擁壁で覆われている場合や、土質試験等で被害のおそれがないと確認された場合は適用されません。つまり適合する擁壁をつくることが、この距離制限を外す手段のひとつになります。

古い擁壁は補修と作り替えのどちらがよいですか?

ひび割れが表面にとどまり、傾きやはらみがなければ補修で対応できることがあります。一方で、擁壁が前に傾いている、中央がふくらんでいる、水抜き穴から土が出ている、目地がずれているといった症状があるときは、構造そのものが力を受けきれていない可能性があり、作り替えを含めた検討が必要です。既存の擁壁を壊してやり替える場合は、新設の費用に解体費が加わります。判断は、現地で構造と背面の土の状態を確認したうえで行うことになります。

水抜き穴が詰まっていると危険ですか?

擁壁がこわれる主な原因のひとつが、背面にたまった水です。水抜き穴は背面の水を逃がすためのもので、建築基準法施行令でも設置が求められています。詰まると土の中の水圧が擁壁を押し続けます。穴から土が流れ出ている場合は、背面の土が動いている合図なので早めにご相談ください。詰まりを取り除くだけで済むこともあれば、背面の排水そのものをやり直す必要があることもあります。

三重県に擁壁工事の補助金はありますか?

三重県には「がけ地近接等危険住宅移転事業」がありますが、これは災害危険区域や土砂災害特別警戒区域などにある住宅を安全な場所へ移すための制度で、擁壁を新しくつくる工事そのものへの補助ではありません。除却費や引越費、移転先の建物への助成が内容です。擁壁工事に使える制度があるかどうかは市町ごとに異なるため、着工前にお住まいの市町の担当課へご確認ください。

まとめ

擁壁は、外構の中でもっとも「見た目に関係ないのに高い」工事です。フェンスやデッキのように暮らしが楽しくなるわけでもなく、それでいて数百万円かかることがあります。後回しにしたくなる気持ちはよく分かります。

ただ、擁壁が支えているのは土であり、その上に載っているのは家です。そして傾きやはらみが出てからでは、選べる手段が「作り替え」しか残りません。水抜き穴を見るだけなら、今日できます。

アトラディックは三重県津市を拠点に、三重県全域で外構・エクステリア工事を手がけています。「この擁壁、大丈夫でしょうか」「この土地は建てられますか」——まずはフォームから状況をお知らせください。折り返しのメールに写真を添えていただければ、見当をお伝えできます。現地調査・概算見積もりまで無料。当社から営業のお電話をおかけすることは一切ありません。

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監修: 代表取締役 木高 雅美株式会社アトラディック)。代表施工者は米国ハワイ州で外構施工会社を設立・運営し、ハワイ8年・韓国3年、海外施工歴11年。現在は三重県津市を拠点に、外構・エクステリア工事を専門としています。

※本記事は2026年9月時点の公開情報および法令・条例、自治体の公表資料にもとづく一般的な解説です。掲載した価格は複数の事業者が公開する情報を横断して確認した目安であり、実際の金額は高さ・構造・敷地条件・施工時期により変動します。三重県建築基準条例第6条の条文は三重県が公開する条例本文、確認申請を要する擁壁の取扱いは四日市市が公開する「崖と擁壁(ガイドライン)」、移転事業の金額は三重県の公表資料によります。市町によって上乗せの手続きや独自の運用がある場合があります。確認申請の要否、がけ条例の適用、擁壁の構造安全性の判断は、いずれも自治体の建築指導担当および設計者が行いますので、着工前に必ずご確認ください。既存擁壁の劣化診断は現地調査が必要で、本記事の見分け方は目視でできる範囲の一般的な目安です。

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